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Concrete
Solution
Association

対談
座談会

 

第4回 RRCS対談&座談会

2021年2月8日配信

  

テーマ

えっ、生コン業界ってまだFAXなんですか!?

移動通信の変遷を体現してきた男が語る

「コミュニケーションの温故知新」

参加者

株式会社テクノメディアラボ

代表取締役 

曽根高則義 様

 
 
 
【デジタル化のメリットと建設業界への導入】

(野口)
視聴者の皆さんこんにちは生コン残コンソリューション技術研究会の代表理事を務めております、野口貴文です。今回で4回目となりました対談でございますが、回を増すごとに注目度が高くなってきております。
さて今回は「コミュニケーションの温故知新」をテーマといたしまして株式会社テクノメディアラボ代表の曽根高様をお迎えしております。曽根高さんよろしくお願い致します。
私の聞いているところによりますと、生コン業界もIT化デジタル化を進めているというところではございますが、なかなかそちらの方向に舵が切れない状態が続いているというのも伺っております。
FAXを使ってのデータのやり取り、文書、ペーパーでの納入・発注が現状まだ続いているということでございまして、なかなかそういうペーパーレス化が難しい状態。なぜなんでしょうか?というところもいろいろ伺っております。そこまで生コン業界にはIT化は現状必要ではない、メリットが見いだせない、というのが一番の原因と伺っているのですが、他の業界のIT化も含めましてIT化、デジタル化がもたらすメリットというのがどういう形で将来的に展開していけるのか、そのあたりについて曽根高様のご意見とかを拝借したいと思うのですが、いかがでしょうか。

(曽根高)
デジタルになることによって何がいいかというと、やはり数値化できるということだろうと思います。建築でもそうだったと思うんですけど、手による作業それから機械による作業。そこからデジタルの技術が入ってきて今の建築業界はあるというふうに私は思っています。
ちょっと調べましたら、BIMですか?BIMというソフトウェアですべて設計、3Dから何か全部できるというふうに聞いていますのでその数値化されたデータさえあればですね、デジタルファブリケーションということも当然可能になってくるんですよね。私共のラボにあります、3Dプリンターでモノを作るんですけど図面に落とすことがまずないんです。つまりデジタルでプログラムされたものはそのまま3Dプリンターでモノが出来てくるんです。なので、表記する記号論ですよね。図面を書いたりとかそれから先生の業界で言えば模型を作ったりとかっていうのがあると思うんですね。それは考えたことがモノに示すことに、記号に示すことによってみんなが想像できるという部分があったと思うんですけれども。この中間の部分がデジタル化されることで全て無くなっていくんです。なので図面を見て先ほど紙に出してと言われてましたけどもうデジタルファブリケーションの時代は紙で出すことは不要になってくるんですよね。なので聞くところによるとまだFAXを使ってらっしゃるということだったので、ちょっとびっくりしてしまったんですけれど。もう世の中はそこまでいってるのではないかという風に思ってるんです。

(野口)
なるほど。生産効率面ということだけ考えますと人がどれくらいの時間働いて、どれぐらいの収入になっていくかというあたりで考えたときに、バブルの1990年頃からですね、実は統計データを見ますと建設業だけは横ばいずっと続いてて、通常の製造業でも2倍ぐらいの状態になっているにもかかわらずというところが非常にもどかしい。若い人たちを呼び込めない状況で、それを変えるために最先端技術を使って自分たちの生産効率を高めましょうという形になっていっているので、そういう観点からすると我々の建設業の中で働いている方々が自分たちの効率を高めるためのそういうツールを作ったりとかね、っていうところに寄与していけば全体としては効率が高まっていくような流れになるのかなとはちょっと思いましたけど。

(曽根高)
その通りだと思います。効率っていうと1個作る、ある単位時間で1個作るものが2個できるっていうのを効率っていうふうに単純に考えられるとつまんないですよね。実はこの電機業界、電子とかITの業界っていうのは、例えばコンピューターのCPU中央処理装置ありますね。パソコンの中に入っている、もしくはスマホに入っている。あの性能は当初僕らが学生の時、もうウン十年前ですけれど。学生の時の100倍とか1000倍とかじゃない。数万倍とか1億倍ぐらいになっているはずなんですよね。それはなぜかというと1台のコンピューターを、16ビットのコンピューターを1台100万円ぐらい、僕らの学生の時。今はどうですか。

(野口)
16ビットなんて。逆に32ビットとかですよね?

(曽根高)
32ビットだしスマートフォンはあれがスマートフォンの中に8コアって8つ入ってるんですよ。8つCPUがあの小さな中に入ってるんですよね。なので数億倍の性能を発揮しているはずなんですよ。ところがですよ、それだけ数億倍の働きをして、効率よく働いた人たちは100億円をもらっているのだろうかというと全然もらってない。逆に言うと、効率を良くしてあげたがゆえにどんどん給料は下がってるというよくわからないことが起きているんですよね。

(野口)
あの、ちょっとコンクリートの話をさせていただくと、我々の生コン残コンソリューションという中で残コンというと何かって言うのが中々こう、普通の方々には分からない。コンクリートはコンクリートなんですけど。生コンも分かるとは思うんですけど、残コンって何ですか?っていう。残コンって、現場で残ったコンクリートっていう意味ですね。で、これが実は大きな問題として浮上してきてまして。コンクリートがなぜ余るんだろうか、まぁこれは生産効率を高めようとするとかですね、これは建設現場全体の生産効率というと、工期短縮とかということになるので。当然その日に終わりたい工事がそこまで終わらせなきゃいけない。で、終わらせるためには当然、コンクリートが不足してしまっては困る。それで足りないよりは余らせた方が良いという事で、ちょっと余分に注文する。その中で、運搬時間が道路渋滞・交通渋滞とか変わってきたりとか、それからコンクリートの必要量をきちっと見込めない。このあたりが一番大きな問題かなと。工場を出て、到着するまでの時間が正確に読めるかとか。あと必要なコンクリートの量がいくらなのか正確に算出できるかっていう。それがぴったりいくのであれば、残コンの一部はなくなっていくと思うので、そのあたりにIT関係やデジタル関係の技術が非常に有効に働くんじゃないのかなと思うんですけど。

(曽根高)
あの、とにかく数値化されたものであればいかようにもなるので。デジタル化された、数値化されてデジタル化されたものであればいかようにもなっていくんですね。しかもその、いろんなセンサーと組み合わせてどれだけ足らなくなるかという部分をAIが予測して、発注を自動的にかけるっていうこともできるし、今はもうやめとけというのもその残コン、予コンっていうんですか?いわゆる作って回してしまうから残コンって出るんですけれども、それが瞬時、瞬時に人に分かるのではなくて、いわゆる作っている機械に対して命令がいくというところなのです。

(野口)
なるほど。それは私が考えている発想以上に素晴らしいところまで教えて頂いたような気がするんですけど。ゼネコンというコンクリートを使う人と、生コン業者の作る人を業種で分けちゃってずっと考えてたので。余る原因は結局ゼネコン側の、ある意味責任であるなと、ずっと思ってたんですけど。逆に余らせて欲しくないのであれば、生コン側が、例えば今ご提案頂いたように、あとどれぐらいでもう足りるんだっていうあたりのデータを自動で、ですよね?私が考えていたのが、足りなくなるなっていうのがデータとして上がってきたら、ゼネコンの人が電話で注文すればいいんじゃないかと思ったんですけど。逆にそこの部分、電話無くてもすぐにそのままデータが生コン側に行くことで、あとどれくらい必要です、交通渋滞を考えるといつ作って運べばいいんだって、それがもう瞬時に連動しちゃっていくんですよね。

(曽根高)
最近よくテレビでありますよ。なんとかだと思う人、イエスだと思う人は赤いボタンを、とかって言いますよね。そうするとサーっと出てきますよね。あの速さで持っていて、すべてが感知されて製造側に回ってくるっていうのはもうこれは当たり前の世界。
車の世界もそうだし我々電子・電機の世界もそうですね。あの、電気をつくる側がありますよね、例えば電力会社。これは難しいんですよ。いきなり回すっていうことができないので。なので予測を立てて、って言うことをやるんですけれど、その電気をつくる電力会社のパワーは結構難しいかもしれませんけどそれでも彼らはやっています。例えば再生可能エネルギーって、いわゆる太陽発電なんかで、どれだけ凹んだか、凹むかというのは気象情報と合わせてすべて命令がいくことになっていて、でそれに対してフィードバックがかかるので電力をどうしようか。という話なんです。で、作り過ぎた電力ってどうなるのですかって、もう捨てるしかないんです。例えば我々の世界は携帯やスマホの世界なので、あれって電波って放射しているんですけど、あれはエネルギーですなんです。電波ってエネルギーなので。エネルギーをただ単に放射しているんですよ。それを皆さんのスマートフォンが微弱な電波をつかまえて、それを増幅させて、‟もしもし“ができたりLINEやメールができたりするんですよ。で、余すことなくどうやったらそれを使うことができるかというのは、他の世界では当たり前のように考えてどんどんデジタル化されることによって。それをうまく制御されてきているんですよ。あの、少なくとも建築業界・建設業界も同じようなことが、遅ればせながらかもしれませんけど必ずやってきます。それは農業の世界でも今やろうとしてますよね。例えば自動でトラクターが動く、これって凄いよねって言うんですけど、あの凄さはなにかというと、夜も、いわゆる暗くなっても、農家の人たちが寝ていても収穫できるというメリットがあるわけです。なので台風が来る、大変だ。でも夕方まで、日没までにはこれを収穫しなきゃいけない。でも日没になったって言ったらもう仕方がないあきらめようっていう部分が、あとは自動制御で持って行ってすべて収穫してくるわけです。そうすると規則正しくちゃんと計画どおりに物事が運ぶということなんですよ。なのでこの自然界を相手にした技術っていうのは、必ずや建設や建築のところにも応用されるはずだという風に思っているんです。なので、近いんじゃないでしょうか。来年再来年と言われても僕は不思議じゃないなという気がするんですよ。

【1970年の、そして2025年も、大阪万博がターニングポイント】

(野口)
なんか、あれですね、我々の建設業界だと、エポック的なイベントがあるとそこに先端技術を注ぎ込むことができてきて。今度の大阪万博で作られるパビリオンなんかは、新しい建設技術・建築技術を使って、いろいろな試みが出来てくるんじゃないかなという期待はしているところなんですけどね。

(曽根高)
面白いですね。1970年に大阪万博ありましたよね。あの時にメタボリズムの考え方をめちゃくちゃ入れていたじゃないですか。僕、思うんですよ。残コンって聞いた瞬間に、どうしてあの、黒川紀章の中銀タワーのような、あのコンクリートの塊の部分を残コンで作っておかないんだろうと。そうしておけば、なんか色んなものに応用できるじゃないかと。で、それが例えば我々が言うところのデジタルのアルゴリズムだとすると、アルゴリズムの組み合わせはバリエーションを広げますから、一個のものを一個しか作れないようなタワーを作るんじゃなくて、中銀タワーって、いろんな形にできるように、広がるように縮むようにって作られてましたよね。なので、でも一個一個は全部コンクリートの塊ですよね。で、残コンが出るんだったらどうしてあれを作らないのだろうと、私なんか勝手に思うわけですよ。あの、メタボリズムで、発想の仕方が、素晴らしい発想の仕方だと私は思っていて。あれがなぜうまくいかなかったかっていうと、あの時代には情報通信というものが貧弱だったんです。いわゆる増えていくものに対して臨機応変に情報を発信することができなかったんです。今なら大丈夫だと思います。だから僕は全然コンクリートの世界が衰退するとかなんとかって全く思ってなくて。建築業界はどんどん発展して行くんだろうと思っていて。それには情報通信の世界がどうしても必要になってくると。デジタル化されたもので制御することで、余った時間をもっとクリエイティブなものに建築・土木の人たちは、発想を豊かにしてもらうための時間に使うことができるという意味では、非常に大きな利点が今後たくさんあって、この産業産業は衰退するどころかどんどん発展していくんだろうなと、僕はもう勝手にそう思っているんですよ。
 

(野口)
非常に心強い言葉で、我々も安心してというか前向きに取り組んでいくきっかけになるのかなと思いました。

(曽根高)
で、その中銀のカプセルを作ったりする部分においてルールって必要ですよね。

(野口)
そうですね。

【ルールによって潰された日本、そしてルールを搔い潜った日本】

(曽根高)
ルールって必要だと思うんですよ。我々の携帯の世界では今5Gとかって話題豊富になってますけど、実は1Gというのがアナログの世界なんです。で、2Gというのがデジタルになった世界で、これが皆さんが使ってたMOVAとかPDCという方式があるんですけど、その頃は世界中が方式の覇権争い。アメリカはAMPSだしヨーロッパはGSMだし、という形のものなんですね。で、2Gからそこまでは結構日本の企業も元気良かったんですよ。3Gというものが出てきた。3Gは、たくさんある方式を1個にまとめようという話が出てきたんですよ。で、本当は2つに分かれるんですけれども、あの特許の問題があったりして。ワイドバンドCDMAなのか小文字のCDMAなのか、この2つが出てきたんですけどもう4G以降はみんな一個に固まっちゃったんですよ。で、どこで日本の企業は競争力をなくしたかというとルールを決めた瞬間に競争力がなくなっているんですよ。3Gからも奈落の底に落ちていくような感じなんです。だから、日本人にルールを与えると何をしてくれるかっていうのを欧米の人たちはよく知ってます。日本人にルールを与えると、もうそれに縛られちゃって。それこそ何かに囚われたようになっちゃって。3Gの時もそうなんです。日本のエンジニアや研究者たちはみんな標準化だ。「標準化で持って世界の覇権をとる!」なんて言って。実は標準化って0円にすることを標準化、ですよね。いわゆる格差がある部分を無くす。あの、電気の世界、電気・電子の世界ではJISのレベルは高すぎたんですね日本の場合。国際コードが非常に低かった。これを日本は、いわゆるガラパゴス、あるいは島国何とかって言われてもみんなの歩調を合わせない国だということでどんどん、どんどん来て平均にしちゃった。標準化を下げた、その瞬間にすべて終わっちゃったんですよ。なので標準化で伸びる国と標準化で衰退する国、今後衰退する国になってほしくない。なのでケータイの世界と同じようなことは起こしてほしくないなという気がするんです。

(野口)
なるほど。今もう建設業界ってそれにハマりまくっている気がするんですけど。いやもう、非常に最たるのがもうそういうルールに縛られるというか、安心しちゃうって言った方が良いのかもしれないですけど。ルールがあると安心しちゃって、「ルール絶対主義」っていうかですね、もうこれは私2000年頃に当時の日本の規格とか基準を、世界とどのように整合させていくかみたいなことでヨーロッパを訪ねたことがあって。イギリスに行った時に私の恩師の友人の家に泊めてもらってそこで話をするときに、ルールというか、法律の作り方がドイツとイギリスって全然違うんですっていう話になって。まぁ我々も日本の建築とかのルールをどうしましょうかというところでお話をしたので。ドイツのルール、それからイギリスのルール、もう根本が違うんですよ。ドイツが「これをしなさい」というルールになっています。もうそれこそ一歩何センチというふうな決め方をしている。それで一番思い当たるのがビアグラスで180CCのところに線が引いてありますよね。これドイツなんですよね。だから決めてるんです。で、イギリスの法律は全く逆で、「これはしちゃいけない」ということを決めているルールです。そういう風に作り方が全然違うっている。そこで考えたのが、じゃあ日本ってどういう形の思想をもって、我々はルールを作っているんだろうかというのを考えたんですけど。先ほどのお話で、ルールに結局は縛られるというより、ルールに安住しちゃってるっていう。まさにこれ日本人の、みんなでやれば怖くないじゃないですけど、みんながそれに則ってやっているというルール。それがルールである限りにおいて、そこから逸脱をしない限り安心しちゃっているという状況で、ルールが絶対的に自分たちを守ってくれているという風に思ってしまっていて。それがコンクリート業界でもたぶん往々にしてあるような気がするんです。なのでそのあたりが日本の発展を阻害しているっていうところもあるのかなと。特にIT化を進めるようとしたときに、当然、ITの基本的なルールというのはあるとは思うんですけど、それはそれでこう、ルールというよりも形式とかは、私も前に製品の寸法とか品質を全部記号化しましょうという流れの中で思っていたんですけど、そういう形に流れていこうとしたときに、基本のところはやっぱり統一しておかないとやりとりが、不都合が生じるので。なんですけど、それをどのように使うかとか、みたいな自由な発想で、結局は使う側にとってみればそこからさらに先端的なことを開発していってね。多分もうあれ日本でその枠、ルールというものの枠に囚われずに進めることができたら、それこそ先ほどの2Gから3Gっていうところありましたけど、そこの状態がもしかしたら2000年頃の状態の、我々私が感じていた建設業界のところと一致している時期かもしれないなと思いながら。で、もしそのルールに縛られなかったら、それこそ飛躍的に、先に先端的なことをやって、建設業界もBIMとか更に早く出来てて効率化も相当進められていったんじゃないかなという風に感じたんですよね。

(曽根高)
3Gの世界ではですね、何が起きたかというと標準化に傾倒したことが悪いわけではないんですよね、実は。あれは、その上で動かすための仕組みとかサービスとかを考えなかったのが悪いんです。それを考えてたのが、いわゆるその欧米諸国の人たちはサービスを、この上で何を、この標準化の上で何をしようかという部分を考えていた。ところが日本人は、この標準化に一生懸命になっちゃって自分たちがその上で何をしたいかって。なので、5Gになったとしても、5Gはよそから持ってきたんだけど、この上で何をするかというのがさっぱり分からない。だから今の状態はそういう状態なんですよ。なので、いろんなところに行って見聞きされると多分、5Gになって何が良かったんだっけ?てっていうとたぶん誰も答えられないですよね。今の日本の社会では。そういうことなので、今はその時代ではなくて上の時代になってますというところなんです。なのでGAFAと言われているGoogleだとかAmazonだとかっていう人たちが何をしているかというと、このインフラには全然お金を出さないですよね。例えばAmazonで買い物しました、何とかしましたって、Amazonはいろいろ使ってくれるのはありがたいんだけど、このインフラにお金をくれましたっけ?というと誰も払ってない。じゃあこのやり取りでサービスとしてお金を払ったのは誰ですか、と言ったらそれはユーザーが払っているだけなんですよ。誰も払わない世界を、この上でどう構築するかというのを彼らは考えた訳ですよ。だから、また建設・土木業界もここだけに縛られないで、この上で何をするのか。例えばメタプリズムのあの考え方を持ってきてこうやるんだ、都市をこうやって作るんだっていう風に、発想をこの上に、この標準化の上に何を作るかっていうのを考えられたら、とんでもない面白い世界が出来上がるのだろうと思うんです。

(野口)
なるほど。

(曽根高)
あの、ここにちょっとペットボトルがあるんですけど。実はここに商品のバーコードってあるのです。この最初の二桁、今は三桁になってますけど、最初の二桁は国コードと呼ばれているものなんですよ。国コード、4と9なのです。日本人は大嫌いですよね4と9って。苦しむだ、死ぬだって4と9大嫌いなはずなんですよ。でも日本に与えられたのはこの49だけなのです。あとで45とか割り振られたり、いろんな国がいっぱい品物を作り始めたので三桁になったので少し余裕ができましたけれども、実は49、このひとつだけだったんです。例えばドイツは4つ、フランスは8つ、アメリカなんかはもう湯水のような、商品を作っていないイギリスでさえも複数持っているわけですよ。日本には1個しかないのにもかかわらずこれだけの商品をうまく管理できているでしょ。これが日本の知恵なんです。この条件下で持っていても、このいやらしい条件を与えられても、うまくやりくりできる。この考え方ができるのは日本人だけだと私は思っていて。なので全然いろんなことでいじめられようがなにしようが、バッシングを受けようがどんな貿易障壁を与えられようが全然問題なく日本は知恵を出すはずだと思うんです。なのでルールを与えられたら、この中で縛られるんですけど、この中で生きる生き方を知っているというところが日本人の凄さなんですよ。なのでルールでやっつけようと思う人たちがいる、これにすっぽりはまってしまって身動きが取れなくなったらこれはもう死ぬだけ。だけどこの中で知恵を絞った人たちは生きていくっていう世界だろうと思うんです。だからぜひそういう形で大きく発展していってもらいたいのです。

【日本の建築長寿命化を阻害する原因は無常観?】

(野口)
ルールの中にも多分いろんなルールがあると思うんですけど、ベースとなるルールっていうんですかね、ここは当然それが制約条件になったとしても、いろいろ工夫をしたり発想を豊かにすることによってそのルールの中でいろいろなことが当然出来上がってくるという状況が望ましいのかなとは思ってます。それは今、曽根高様が仰っていただいたように、日本人の得意なところかもしれないとは思います。これからの建設業界も、ある意味日々というよりも秒単位で変わっていくんですか、という状況が生まれてくる。まぁそれが、作るのにやっぱり何年もかかるようなものなのでそんなに秒単位はいかないですけど。二度と同じものは出来上がってこない。徐々に徐々にそれが良い方向に変わっていくという流れも、これもある日本人の気質には逆に合っているかなという風には思うところなんですよね。あの、昔に日本の建築物って欧米に比べると非常に短命であるっていう、それが地球環境を考えると限られた資源で短命の建築物が多いということは資源を無駄遣いしているんじゃないかという事で、長寿命化の方向へ何とかもっていけないかという命題が湧き上がってきまして。これが1990年代に湧き上がり、さらに2000年代には200年もつような住宅を作りましょうという流れもあったりしたんですね。その方向に向かっていこうとしたときに、何が悪いんだろうかという。日本のなぜ住宅って欧米に比べると短命なんだろうかと。確かですね、その当時日本の住宅って40年ぐらいしかの平均的な寿命がなくて、欧米だと100年ぐらいなんですね。それって何が原因かという中に、いろいろあって私は材料の専門なので、材料の専門の立場からすると別にコンクリートをそんなに早く壊れるわけないでしょって。もうこれって経済的な要因であるのかによって、もうドンドンと再開発進んでいっちゃうっていうのも1つ原因じゃないでしょうかっていうような観点もあったんですけど。もともとは日本の街づくりっていうのが、さっきのルールの話じゃないんですけど、実は日本ほどルールのない社会がないっていうぐらい、実はまちづくりにおいてもほぼない近い、自由に作れちゃうんです。結構欧米ですと規制があって。

(曽根高)
サンフランシスコとか。

(野口)
はい、街並み保存しますとか、街並みの景観を大事にするということにおいて、勝手に作れない。特に看板なんかは目立ってますけど、勝手に街のビルに看板作っちゃいけないとか。まぁ、その中でなぜ短命なのかは、結局は統一感のない街になっていってしまうがために、自分たちで勝手にその都度壊したり作り上げたりということをやっていってしまう。そういうところが日本社会の中にあって、非常に自由な社会になってしまっている。このあたりがいかに、もうちょっと統一感を出せるようにしましょうというのが、1つの長寿命化を促す方法ではないかなというような観点で、検討を始めていたんですよ。日本もやっぱり街並みを保存し、その中で建築物をずっと長持ちさせるようにしていきましょうと。まぁ主役はコンクリートであって鉄であったり、というところなんですね。で、私共のコンクリートもさっき申し上げたように、ほぼ半永久的にもつんじゃないかというふうに考えているんですが、まぁ鉄があると実は鉄が錆びちゃうので中々そうはいかないんですけど。ローマのパンテオンみたいに、2000年を経た今でも現存しているものもありますし。その中にあって本当に日本人はそんな長持を作れるんですか?という問いかけが欧米の人から、実はなされて。っていうのを私の同僚が欧米の人から言われちゃったんです。我々こういうふうに日本の建築物住宅長寿命化しようという方向に今進めているんだけど、という話をしたらしいんですけど、そのときに欧米の方から「日本人の気質からしてその方法って無理なんじゃないですか。」ということで、その方は鴨長明の方丈記を題材に出されて、日本人の気質がそこに書かれている思想からすると、そんな長寿命な建築、コンクリートを本当に使って2000年持つようなものを作り上げるというのが、気質上、大丈夫なんですか?という問いかけがなされたんですけど。その辺を何かうまいこと解決する手段というのが、5Gとかデジタル化、IT化の中でうまくこう、どうすればいいんでしょうかねっていうあたりが、何かIT技術とかそっちの方の観点から、何か良い方向性ってありますかね?

(曽根高)
コンクリートが2000年持ってるっていうのはすごいなって思います。例えば日本の場合だと法隆寺、千数百年。決して日本人にその気質がないかというとそうじゃないですよね。それこそ3Rって言われてたような、もうまさしくそれを地でやっていますよね。たぶんヨーロッパよりも、そのあたりは木の文化だから、非常に考え方としたらもうそこに持っているって言いますか、発想はあると思うんですよ。ただコンクリートがまだ入ってきて100年程度だと言われていましたよね。なのでまだ使い方がよくわからないというのはあるのかもしれないし、もうひとつあるのは、鴨長明の話で言うといわゆる財産の問題がある。あの、ヨーロッパの建物って買ったりしないですよね。あれは借りるんです、賃貸ですよね。でも日本の場合はマンションにしても何にしても、自分たちのものとしてとにかく手に入れよう。それが自分たちのステータスだ、という風にどっかから勘違いされたのかよくわからないんですけれど。そのあたりもあっていわゆる自分の、要は3世代続けば十分じゃないと。3世代続けば十分な建物であればいいんだっていう、乱暴な考え方になっているんだろうと思うんですよ。自分のものだから好きにしていいという部分があって。なので自分を好きにしていいから街並みのことは考えない、自分が建てたいものを建てるっていうところだと思うんです。ヨーロッパなんかに行くとやっぱり、それはすごいなと思うのはあの街並みを残しながら、実は車が来てガレージは建物の中でガーっと開いて、ハイテクのものがこの中に入ってるじゃないかっていうところ、ありますよね。なので例えば我々デジタルの世界もそうで。例えばスマホが100年ももつって誰も思ってないし。まぁ5年もてば良いところかなと。10年もってたら「ガラ何とか」とか言われてもう捨てろぐらいに言われるわけですよね。そういうものもあるんですけれど。ただ、我々の世界でいうと例えばプログラムをリユースするっていうのは、流用するという言い方をしますけど、サブルーチンに入れてそれをみんなで使うと部分がありますよね。デジタルの一番いいところっていうのはコピーができることなんですよ。同じものはいくらでも作ることができる。それは建築でいうところのルネサンスと同じです。同じ画のものを世界中に広めることができるっていうのは大きかったと思うんです。あの、我々の世界は、いかようにもブログラムってパソコンの上で何でも作れるんですけど。建設、建築の場合はそうはいかないですよね。例えばコンクリートだって、ヨーロッパって雨降らないじゃないですか。もちろん遠くの山も雪が溶けてきてっていうのはありますけど。昔フランスなんかもそうですけど、いわゆる水をどうやって供給するかって言っているのにも関わらず、コンクリートを持って行って水を使わなきゃいけないっていうと、それってとんでもない技術か何かがないとたぶん作れなかったはずだという風に思うんですよ。だって水が一番大事ですよね。まず水がないと建物立たないですよね。セメントはあっても混ぜないといけないですよね。だけど多分、その辺の水たまりで持って行って、建物が建つぐらいの技術が2000年の間に培われてきたんじゃないかということからすると、まだまだ検討の余地がある。日本のコンクリートの場合はあるのではないかというふうに思うんです。
サイバー&フィジカルって言いますよね。そういう世界なので、サイバーが何か起こることによってフィジカルが、フィジカルが何かすることによってサイバーが影響を受け合うっていう共鳴の領域だと思うんですけれど。それが当然必要になってくるので、デジタルは是非無視しないでほしいと。とんでもないことが起こりますよと。だってBIMだって3Dでもこうして3Dプリントじゃないですけど、3Dコンクリートとかっていうのが出来上がってくるとその場で何か柱ができちゃうとかですね、今は、例えばなんか枠組みをこうして中に鉄筋を入れて鉄骨を入れるという話があると思うんですけど、実はなんか3Dプリンターのように建物が。まぁそんな面白い話は未来なのかもしれませんけど。でもデジタルだと何か考えて、小屋くらいの事だったらこれでできちゃうと。別にどっかに買いに行かなくてもできちゃいますよって。

(野口)
いや、もう諸外国ではやり始めてます。

(曽根高)
本当ですか?じゃあ急がなきゃいけないですね。

(野口)
そうですね、ちょっと日本出遅れちゃったところは既にあって。

(曽根高)
日本の知恵を結集してぜひその辺りは。頑張って頂きたいですね。

(野口)
ぜひお力をお借りしたいなと思っています。あの、建設業の中でも、そういう意味ではコンクリートがもしかしたら一番、コンクリートという材料を扱っている分野が一番そういうところに遅れているかもしれないというところがあるので。追いつけ追い越せというかたちで今後やっぱり進めていかないと、やはり将来に渡って、なくてはならない材料なのだから、そうなんだったら現状の技術に対応して、尚且つサイバー・フィジカルの、フィジカルの方で新しいものを作り上げていくことによってさらにそれを利用していただけるようなサイバーの世界ができて。そこで影響し合って将来のコンクリートって今我々が想像しないようなものが出来上がるというのは本当に望んでいるところです。

(曽根高)
ぜひよろしくお願いします。

(野口)
ありがとうございます。本日は非常に貴重なご意見を頂きまして、目から鱗というのが本当にぴったりの表現でありました。最後の部分ですね、デジタルとコンクリート、これが協調し合って新しいものが生み出されていくことが将来にぜひそういう形につなげていきたいと思っておりますので、生コン・残コンソリューション技術研究会におきましても、自分たちの残コン問題、それから生コンの問題を考える上で今日のお話をもとに、ぜひとも将来のコンクリート未来へ続くコンクリートをつくりあげていきたいと思います。
 
本日はどうもありがとうございました。