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対談
座談会

第12回 RRCS対談&座談会

2021年10月25日配信

 

テーマ

建設業界の雄とトップアカデミアが語る

「コンクリートの将来はこうあるべきだ!」

参加者

 

鹿島建設株式会社

執行役員

坂田 昇 様

(野口)
皆さんこんにちは。本日第12回目となりますRRCS、生コン・残コンソリューション技術研究会の座談会の方始めさせていただきます。いつもながらご挨拶を申し上げますが、代表理事を務めております東京大学の野口貴文でございます。
本日は、多分いま非常にこう注目を浴びている、鹿島建設 執行役員・坂田昇様を今日はお迎えしまして「コンクリートの将来はこうあるべきだ」と言うようなことについてお話をお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

(坂田)
坂田です、よろしくお願いします。

(野口)
あの、ちょっと大げさなタイトルを今申し上げましたが、坂田様、お聞きするところによると、ダムの現場にいらっしゃったということで。ちょっとその頃からコンクリートってどういう印象を持たれていたかというようなこととか、それから技術研究所の行かれたりということで、そのへん印象がどのように変わってきたかなんていうことをお聞かせいただければありがたいと思います。

(坂田)
ありがとうございます。私、入社が1985年なんですけれども。入社しましてすぐに研究所に入りました。で、大学院では水理をやっていたんですけれども、会社に入ったらコンクリートを9年間研究員としてやりまして、その9年間ずっと研究所でやって現場のコンクリートを触ったり。当時、岡村先生がハイパフォーマンスコンクリート、高流動コンクリートの研究をずっとやっていまして。自分がちょうど入社した頃に岡村先生が提唱されて。数年経ってですね、東京湾横断道で高流動コンクリートを使うということで。鹿島のNVコンクリートっていうのを現場で東京湾横断道の道路のところで使って。ある程度自信を持ってダムの現場に行ったと。当時ですね、今もそうなんですけど、ダムってバッチャープラントといいますか、コンクリートは自社でやりますね。ですからゼネコンの社員がそのバッチャープラントを見ると。で、私その当時33歳だったんですけれども技研からコンクリート専門が来たということですべて任されまして。ですから私、工場長兼品質課長みたいな形でその運営を、「専門家が来たんだから」と、もう全部任されてですね。こっちとしては非常にやる気もあったけれど全部自分だからもう一生懸命勉強してですね。近くの生コン屋に行って色々なことを聞いたり、バッチャープラントが立って半年ぐらいあるわけですね。試験練りとかしたり、その運用を4年間ぐらいさせていただきました。ですから、なかなか生コン工場さんが言えないようなことを結構知っていますので。今日はそういう話もさせていただいて。「違うよ」って言われるかもしれないですけど、私が経験した中で、今の生コン業界がどういうもので、今の状態になって。それをふまえて先生がおっしゃられる将来について議論させていただければなと思っております。その過去の話をちょっとさせていただいてもよろしいでしょうか。

(野口)
ぜひお願い致します。

(坂田)
私がダムでまず初めにやったのが仮設構造物を作ることだったんですね。それは150㎥くらいあったんです。で、まだ現場にバッチャープラントが出来ていないので、運搬時間はだいたい60分から70分ぐらいのところでスランプ12㎝のコンクリートを持ってきて、それでコンクリート打ちましょう、と。で、150㎥だったら試験は一回ですね普通は。私らは試験の練習ということで、生コン屋にわからないようにちょっとずつ取ってやったんですね。それがですね、30回ぐらいやったんですね。当時5㎥、本当はダメなんですけど、当時5㎥とか5.5㎥とか積んでいたので、30回ぐらいやったすべてのスランプ試験の結果、一番低いのが11.5、最大18、平均15なんですね。で12㎝だと言って持ってきてたんですよ。
それでちゃんと品質管理をやる奴はちゃんと12㎝でこっちも12.5とかほとんど一緒なんですよ。だから実際にはそのぐらいバラツキがあるものだというのが私の認識、今でも認識です。ただ、強度はほとんど変わらない。要はスランプというのはものすごく鋭敏で、強度はほとんど効かないですね。強度も全部とったんですよ、練習の為にですね。そうすると変動係数で1車としては、一式配合としては結構バラついていたけど、そんなにバラついていないです。で、尚且つ設計基準強度に対して一番低いのでも1.15ぐらいで1.125とか全然問題ないんですね。でもスランプはその位バラついているというのが実態で。やはりその位はバラつくものだなっていうのをすごく痛感しましたね。

(野口)
それはアレなんですかね、許容できる範囲のバラツキなんですかね。

(坂田)
適用できる範囲だと思います。その現場はトンネルのちょっと狭いところを打つコンクリートだったので、柔らかめを持ってきたんですね。たぶん多分作業員さんとの調整はしていたと思うんです。12じゃ硬いと。だから多分15位のを持ってきていた。基準はそうだし、調べられるときはそれにしないとダメだ、というのもあったのかもしれないですけど。それで私たちですね、今いいものを出すために管理したい、ということでi-Constructionに則っていろいろ印字データを出してください、とかこういう話があるじゃないですか。でそれを全生連の原田さんのところに前川先生とかと一緒に行ったときに、「無理です。」と言われたんですよ。

(野口)
なるほど。

(坂田)
それは無理でしょうというのを私もわかってましたけど。例えばですね、生コン4.5㎥だったら1.5㎥を3回練るわけですよね。それでアンメーターを見て、一台目硬かったら次はちょっと水多く入れて、それで合わせているわけですよ、4.5㎥。で、スランプを合わせるという技を使うんですけれども。これは全部印字データをやったら表面水率が全部どんどん変わっているのがもう見えますよね。基準は0.5以内で測定が午後と午前1に1回チャップマンによる表面水率試験をやるだけで、エビデンスも何もないのに何してるのということになりません?そうすると規格が破断しているということになっちゃうわけですね。

(野口)
もうちょっとそういう意味では規格がですね、日本のスランプとか結構プラスマイナス2.5とか1.5とかの世界じゃないですか。海外のってもっとラフなんですよねスランプなんかも。

(坂田)
それでいいと思います。

(野口)
ある範囲に決めて、10から15とか。もっとあるかな。

(坂田)
私が一番思っているのはスランプ試験って15㎝が一番難しいんですね、これは実際やっていた人間なのでわかるのですが。15㎝って下手するとスーッと崩れると18㎝になるんですね、ちょっと崩れないと12㎝なんですよ。だから15cmなんかいらないんです。もういま私と、前川先生とか頑張っていただいて国交省の通達が8㎝から12㎝になったじゃないですか。だから私からすれば12と18とあと21ぐらい。あとは均しコンとか床なんかは5とか6で、その3つか4つで十分ですよね。だっておかしいのが、8+2.5と12の時は被るんですよ。15と被るんですよ。それはおかしいですよね。

(野口)
もうちょっとそういう意味では、実態を明らかにしてもらって、それでそれぐらいの範囲が許容できるんだったら許容して。透明性の高い状況を。

(坂田)
そうなんですよ、先生がおっしゃる通りで、いま先生JISに関わられてるじゃないですか。だから私が思うのは、これからのコンクリートの将来を明るくするためには、もっとシンプルにして。強度だってですね、あんな強度いると思います?21の、24の、27の、30の、33の、36のって。10Nごとでいいですよねもう。

(野口)
もうそうですね。

(坂田)
土木なんか大変なのはですね、55%縛りってあるんですよ。耐久性で水セメント比が。そうすると設計21Nで出されているのに、27Nを買わないとダメなことになっちゃうわけです。水セメント比でね、で、お金くれるのは21Nなんですよ。そういうルールなんですよ。

(野口)
なるほど。

(坂田)
おかしいんですよね。最近はその基準を承認していただけるお客様もおられるので、それなりになってきていますけれども。それだったら20・30・40・50ぐらいで十分だと思うんですね。

(野口)
製品としてね、強度的にね、それもこの前の2019年の改正で建築サイドの要求で、45N以上は1N刻みもOKみたいになっちゃって。

(坂田)
それおかしいですよね。

(野口)
もう本当に周りの規制なり基準なりの縛りを、そのままなんかもう引きずりながら、改革的な新しいコンクリートっていうのではなくて。とにかく古いものを引きずった上で、っていうことになっちゃってるから、多分しわ寄せがもういろんなところに来ちゃってて。どっかで本当にあれなんですよね、このRRCSの中でもですね1回「グレートリセット」っていうのが話題に上がったりしてたんですけど、それこそ生コン業界もグレートリセットぐらいをしてもらってね、新たな生コン業界、コンクリート業界っていうあたりがこう、見えてくるといいとは思うんですけど。

(坂田)
そのためにはJISを全面改訂していただきたいですね。例えば建築の場合だと温度補正とかってあまりJIS規格品を買うことはないんじゃないんですか。結局封緘養生してとか、冬場はどうだか、やはり部材がスレンダーなので。土木はマスコンクリートなので、JIS規格があってそのまま水中養生でやっているんですね。ですからJISの規格がものすごく響くわけですね。JISをもっとシンプルにしていただくと、生コン工場が楽になるだけじゃなくて、品質管理もしやすくなるはずなんですよ。例えば50種類のコンクリートを扱うのと5種類のコンクリートを扱うんだったら、5種類を扱っている方が絶対にその管理もやりやすいはずなんですね。私はダムの現場で4配合しか作らなかったんですね。A配合というのは150mmと大きなやつで、B配合というのは80mm。でC配合っていうのは40㎜で、DというのはNVコンクリートで。ダムのほとんどの現場は10配合とか20配合作るんですね。
設計強度はこうだからこんなの作りなさいとか言って、水セメントをいっぱい作って、スランプをいっぱい作って。そうすると管理が大変になるので結局バラついちゃうんですね。でもそれは絶対そうじゃない、ということをお客さんの、新潟県の方がダム技術センターに行かれていて非常に分かった方だったので、その方に言ったらその通りだということで、我々は日本の中で一番配合数が少ないダムを作ったんです。ですから変動係数も一番低いんですよ。当然ですよね、作っているコンクリート少ないですから、シンプルなのでエラーも起こらないですし、管理も非常に正確にできるんですね。

(野口)
いや、もともとコンクリートってそんなにこう、なんですかね他の製品のね、電気製品だとか車とか、あの品質にたぶんできないですよね。

(坂田)
できないです。値段からしても安いですよね。

(野口)
そう考えると、そこの部分をいかに細かくやったとしても、なんかバランス悪いですよね。

(坂田)
そういう方向にJIS規格を持っていって頂くと、そういうズルも無くなるし、変なことも無くなると思うんですね。日本のコンクリートを良くするためには、まずここから始めないとですね。そこはたぶん生コン業界の皆さん知っている話なんですね。で、その中で苦労している。私は土木学会誌にも書きましたけど、生コンは安すぎると思うんですよ。だから今のインフラが成り立ってて。皆さん高い、高いと言いますけれども、1kg、5円、10円とか8円とかで買えるものなんてないですよね。

(野口)
そうですよね、水より安いですからね。

(坂田)
水より安い。ペットボトルにしたらあれですよ、1Lが10円とかですよ。そんなのなかなか無いですよね。

(野口)
学生に私、聞くんですよ。1㎥あたり、単位1㎥なんですけど、いくらだと思うかって聞きますね。

(坂田)
何十万と言いません?

(野口)
だいたい10万は超えますね。

(坂田)
私もたまに先生で呼ばれて非常勤をやらせてもらってるんですけど、必ず一番初めにそれ聞くんですよ。そしたら一番安い人で5万ぐらい。高い人は15万とか20万とか。そのとき、ひっかけてこの水まず150円でしょうと参考値をいうとまたブレますよね。参考値が参考値になってないっていうか。

(野口)
そうですね、本当にこんな安いものはないっていう世界ですからね。まあ、生コンの価格が安いのは安いんですけど。この前聞いた話だと、これ建築の話かもしれないですけど、コンクリートの価格が倍になっても、たいしたことないんですって。

(坂田)
建築の場合はそうですよね、はいわかります。

(野口)
全体に占める割合から言うと。だからそれぐらいの値段で売買をできるようになれば、もうちょっとね今の生コン業界変わってもらえるんじゃないかなという気はしてるんですね。どちらかというと大学なんで、特になんですけど先端的な研究やるじゃないですか。だけど、実際の生コンに行って、出て行ったコンクリートにそういう研究がどれぐらい生かされてるのかっていつも疑問には感じるところがあって。研究自体は実際には、生コンよりはゼネコンの方々が新しいコンクリートを作ったりとか、いろいろアレンジして研究されてますよね。で、だからその辺が、本来は生コンがご自身で自分のところで研究開発をしていけるような体制が業界としては望ましいんだろうなとは思ってるんですけど。

(坂田)
そう思います。でも、その体力が無いです。

(野口)
その体力つけるためには、って事なんですよね。

(坂田)
そうだと思います。岡村先生がハイパフォーマンスコンクリートの研究されるときに私も選ばれたんです。30何年前ですね、ゼネコンの15社か16社の20代後半の若手研究員を集めてハイパフォーマンスコンクリートの研究をされた。私も受託研究で1年間行かせて頂いたんですけど、そのときに岡村先生がおっしゃっていたのは、「本来は、これ生コン業界やるべきことだ。」と、ただ当時言われていたのは、「生コン業界は技術開発する体力がない」と。「だからあなたたちゼネコンに集まってもらって研究してもらうんだ」と言われていて。今はもっと厳しい状態になっていますから、誰かが道をつけてあげないといけない。だから私も土木学会誌に書いたのは、ゼネコンだけではなくて官も学もみんなその周辺が、一緒に組織だってやっていかないと我々のコンクリートというのはどんどん暗い方向になると。それのひとつは、先生とかがやられているJIS規格とかでもより高度にしようとかではなくて、よりシンプルに実態に合ったものにしていただいて。それで皆さんが正直ベースで全部明るみに出て、というようなことにならないと。なかなか今後の発展性はないのかなと思いますね。

(野口)
坂田様のこれまでの経験をもとに、コンクリートってこういう状況だったというお話いただいたんですけど。2021年オリンピックも終わって、それから建設業界も2022年問題がどうのこうのって昔言われていて。ゼネコン自体どうなるのっていう危惧があったんですけど、この前ちょっとですねゼネコンの方にお聞きしたら、全然心配はなされてなかったですね。これからのゼネコンは当然いろんな仕事をこれからやっていくだろうと言うことで。コンクリートに限って言うとたぶん色んなものが開発されてきているという状況だと思うんですね。で、世の中もいろいろ新しい技術がどんどんできあがっている中で、コンクリートってやっぱり今後いろんなものが求められてきたり、それからむしろ変わっていくべき材料でもあるかなとは思うんですけど。ゼネコンとしてどんなコンクリートがこれから望まれるか、もしくは欲しいか、もしくは自分たちで作ろうとしているかっていう、そのあたりっていうのはどうなんでしょう。

(坂田)
それについてはかなり強い想いがありましてですね。私は岡村先生ってすごい先生だなと思ってまして、やはりあの時代にあのことを考えられたというのは素晴らしくて。時代がようやく追いついてきたかなと思っているんですね。我々もいろいろ高強度だとか高靭性とか軽量だとかいろいろなことをやってきましたけど、やはり今後、ゼネコンはもうずっと未来永劫大丈夫だとかそんな話ではなくて。やっぱり災害もありますし、いろんなことがありますので建設業というのはなくならないと思いますし、コンクリートもなくならないと思います。ただ、いまどんどん人がいなくなってきて、特に日本はですね。尚且つ働き方改革で2024年には残業時間は一気にすくなくなるっという状態なわけですね。その中でやっぱり特殊なコンクリートじゃなくて、ごく一般に高流動コンクリートを使えるようにならないとダメだと思っているんです。だから普通の生コン工場から出るものは全部高流動コンクリートというふうになれば、型枠だってプレキャスト部材にして全部が自動化になれば、あとは建設現場に人はいません、工場です。となると思うんです。今作業員さんがもう泥だらけになって、コンクリートまみれになってバイブレーターかけて、かからなかったらまた未充填ができて、土木の場合は全部潰せっていう事になって、大変なことになるわけですよね。人がそこにいるから、当然事故も起こりやすい。だから死亡作業も多いっていうのが実態ですよね。
だから私は将来的には生コン工場から普通に高流動コンクリートが出るというようにしてほしい。私、セメントコンクリートには断られたんですけども、コンクリートテクノで載せてもらったんですが、高流動用セメントを作ってくださいっていうのを、前川先生と書いたんです。それは何かというと、セメントばっかりだと高くなるのと、温度応力もあるし収縮があってといろんなことがありますよね。だから石灰石微粉末、炭酸カルシウムですね、と、セメントをプレミックスして例えば3対2にすると、500㎏の計量すると、セメントは300が入っています、石粉、すなわち炭酸カルシウムは200㎏入っています、というもので普通に練られるわけですね。そういうセメントを作ってくださいというようなことを書いたんです。
そうするとセメント協会からは、「これは載せれません」と言って掲載を断られたんですけど、コンクリートテクノは掲載していただいたんです。実際には非常に今やるとトラブルが起こる可能性があるんです。間違えてやると強度出なくなりますので。普通セメントだと思って、特に高炉セメントとか白っぽいから似ているので、高炉セメントかと思ったら半分しかセメントが入っていないわけだから強度出ないですよね。でもこれが全部になれば、多分問題ないですよね。尚且つ、混和剤も高性能AE減水剤も良いものもありますし、尚且つ、一次商品としては私、長期遅延剤が良いと思っているんですけどね。ほとんどゼネコンがほしいコンクリートというのは施工のトラブルがないコンクリートなんですよ。この施工トラブルって8割は夏に起きるんですよ。何故かと言うとスランプダウンするわけですよ。建築は21cmとか18cmでそのリスクが少ないんですけど、我々8㎝とか12cmだとそのリスクがものすごく多くて、尚且つお客さんが専門なのと、要は100年持たせるということがもう仕様にありますので。且つ、打ちっぱなしであると。そうすると少しでも未充填が発生するともう補修ではなくて潰して作りなさいというお客さんもいるんですね。それが例えば超遅延剤みたいなものを標準化してもらえれば、夏場でも2時間から3時間もちます。そうするとスランプダウンは起こらない、そうすると未充填も起こらないっていう流れですね。さらに、全部高流動コンクリートにしてしまえば、当然、高性能AE減水剤ですから時間のコントロールもできますよね。っていうような世の中になると、コンクリートも高く売れるし、現場の作業は少なくて済むし、安全で非常にスマートでクリーンな建設現場ができるのかなって強く思っているんですね。

(野口)
なるほど。高流動の黎明期っていうかですね、1990年代ぐらいのときに、開発して皆さんに導入しようとしたときに、恐る恐る導入しながら当時やっぱり建設現場の人員削減というのが、高流動を使うことによって可能となるという謳い文句だったんだけど、私がお聞きしているんだと、現場はやっぱりそれだけの人を配置してしまって、結局は材料コストだけ上がっちゃってっていうところがあったと。

(坂田)
おっしゃる通りです。例えば型枠、土工さんがいるじゃないですか。土工さんって色んなことをするんですね。バイブレーターをかけたり。まぁ鉄筋工はちょっと特殊工なので別ですが。大工さんは色んな事やるんですけども、それを全部なくしてしまうとメリットが出るんですよね。だから高流動だけ使ってあと全部従来通りの手作業だったら、意味がないんですね。だからさっきお話ししましたように、全部を人手をかからないようなもの、プレキャスト部材にするとか、組んできた鉄筋をポンと入れるだけだったりすると、そこには作業者はいないので浮くはずなんですね。当時は高流動コンクリートだけバイブレーターはいないと。そうするとその時間だけ作業員さんは楽して、結局コスト的には下がらないという結果になり、高流動コンクリートは本当に特殊で普通コンクリートでは打てないところだけということになってしまったというのがそういうことですね。

(野口)
なるほど。今、そういう意味で、もう20年、30年ですねそれこそ高流動コンクリートの発表・開発から経過している中では、もうそういう意味では高流動コンクリートに合うように建設現場の方も十分に対応ができるようになって、コスト削減もそういう意味では図られながら、更にそれこそi-Constructionみたいな形になってくると、より有効に高流動コンクリートを使えるような状況が今生まれてきているという。

(坂田)
まだ生まれていないですけれども、今その方向にみんなが向かっているので、すごいチャンスなのかなと思うんですね。

(野口)
そうですね、もう1回そういう意味では。1回日本では私の記憶だと2004、5年に日本全国から高流動コンクリートが消えてしまって15年間くらい。ほぼ日の目を見てなかった。それが何か今は中流動みたいな、何かよくわからないものが出てきている中で、本来だったら高流動のもう本当に振動、締固め無しでね、隅々まで綺麗に行き渡ってくれるっていう理想的なものをもう1回復活させて、坂田様のおっしゃるように是非ですね、何か建設現場クリーンな高度な技術で。今後たぶん高流動になってきてそうなると、残コンもですね、もしかしたら同じようにIT技術を使っていろいろなことができるんじゃないかと思うんですよね。

(坂田)
残コンは、今は無理だと思っているんです。なぜ無理かというと、特に土木の場合はですね、それこそその品質をものすごく見られるわけですね。最後の最後で一番重要なところで、ギリギリ頼んで、もし来なくて例えば10cmくらい打てなくなって、後で来たコンクリートが遅れてそこがコールドジョイントになったら全部アウトなんですね。と言うのと、0.5とか1㎥というのはさっきの論理でいくと絶対に良いものが来ないんですよ。やっぱり4.5㎥頼むから安定したものが来るんですね。そうすると現場としては4.5㎥でも5、6万でしょ、と。そしたらそれをちゃんと頼んで、安心して打った方が最後の仕上がりは良いわけですね。だから4㎥返したって、現場としてはそっちの方がよいということになる。そこで失敗して何百万とか何千万とか、あと信用失って、工事評定も下げられることを思えば。いくら計算をしても、空気量は安定してないし誤差があるわけですよね。そうするとギリギリなんか絶対頼まないですね。で、頼むということ自体がもうものすごく施工者としてはリスクなんですよ。生コン屋としてはそれは納得いかない、だからちゃんとお金を払ってください。で、それでもなくならないのは、そういうことなんですね。
たださっき仰られた、高流動にしちゃうと、いま超遅延剤もあるわけですね。そしたら明日だって使えるってコンクリートにできる可能性もあるわけですよね。持って帰って、それを置いておいて、薬入れて、もう1回次の日に出荷してもいい、という。それもJIS規格も全部変えてですね。そういうことだって可能なわけですよ、そうすると残コンなんかなくなるわけですね。

(野口)
それこそちょっと値引きするんですかね、赤札かなんか貼ってとか。

(坂田)
そうですね、一応20%ダウンとか、賞味期限がちょっと超えてるからって言うような。だから私はその、高流動にすることでいろんなものが解決されるのかな。やはり施工者はさっきお話ししましたように、絶対に施工ミスというか、未充填だとかコールドジョイントとか豆板ですね、そういうものは絶対に作らない、そうならないコンクリートを求めてます。

(野口)
ちょっと私、さっき申し上げたi-Constructionとかっていうものに対応するコンクリートとしても高流動は。

(坂田)
マッチングしていると思います。さっきお話しましたように、鉄筋は陸組みしてきてポンと入れます、型枠はプレキャストでポンと設置します。あとはそこに流し込んで終わりです。そしてそこには人はいません、機械だけです。

(野口)
なるほど。
最後に一つ、あのすみません。コンクリートって、それこそ。私、建築なもんですから。

木造推進ということでコンクリートを使うな、セメントを使うな、という世界だったんです、ずっと。もう本当に2000年代の半ばぐらいから、それこそ、もうその頃から建築はカーボンニュートラルという言葉を使ってたので。カーボンニュートラルな建築材料として木造にしましょう、木材を使いましょうという状況だったんですけど。もういつもコンクリートを使うな、セメントは何をやってんだって言われている状況だったんですが、将来を見越してやっぱりコンクリートって絶対これからなきゃいけない材料、なくならないとは思うんですけど。その辺でコンクリートが生き残っていく為の何らかゼネコンとしての方策みたいなものがあれば。コンクリート構造物が世の中で認知されて。下手すると木で橋を作れなんていうことを言っている人もいるぐらいなので。その辺で、コンクリートじゃなきゃやっぱりダメなんですという、それを大義名分をもってコンクリートも環境に優しいんです。っていうような何かいい謳い文句ってないですかね。

(坂田)
そうなると、カーボンニュートラルの話になってくると思うんですけど。先生が書かれていて非常にわかりやすいかなと思ったのは、コンクリート作るのに石を砕いて粉にして固めると。結局は石灰石がその形状を作ればいいんですけれども、あれは石ですし。あれを粉にして、焼いて反応性を高めて、水でドロドロにして流し込んで形にすると。それでいろいろな形の強度の物が作れるというのがコンクリートのすごくいいところですよね。で、そのためにCO2をバカみたいに出して今こんなことになってますと。その時に、今後じゃあコンクリートがなくていいのかといったらそうではないと思っているんです。先生おっしゃるように、木で作れといっても、橋でも1kmも2kmもの橋を木では絶対作れないわけで。例えばこのビルだって、木では、せいぜい5階ぐらいは作れるかですけど、何十階というビルは絶対作れないわけですね。そうするとやっぱり人間生活していく上で、コンクリートは絶対必要であって。例えば飛行場だってコンクリートでなければ、やっぱり木とか、たとえば粘土とか土じゃダメなわけですね。と、いうことは絶対コンクリートは必要だと。
そうすると今度はコンクリートを作るときに、いかにコンクリートがCO2削減に貢献するかということになってくる。コンクリートを作りながらCO2を吸収するというような技術が必要になってくるかなと。これ具体は言いませんけど、いろんな技術が開発されてて、多分国としても国策でちゃんとお金を出してくれるのであれば、いろんなところがそんな研究すると思うんですね。だからやっぱりコンクリートを使いながら、ちゃんとコンクリートもCO2削減にも貢献しているんだと。で、そのときに私が言いたいのは、強度とかそういうものってちゃんとデータとして出るじゃないですか。これは一番の問題は、CO2の問題は言ったもん勝ちみたいになるところ、吸ってますとか、出来てますとか。だから結構本当ではないものを本当のように、私は海外の見ていても結構そういうものはあるんですね。それに乗っかってっていうことだけは避けたいんです。だからやっぱりその測定技術なり、本当にそのことが証明されているものをちゃんと選別してやっていくべきじゃないかなと。なんか流行りだけでどこかから海外のいろいろなところが入ってきていますよね。「海外でも使われているんだ、だからいいんだ」とかいうようなことはやっぱり日本国としてはすべきではない。それは結局いま苦境にある生コン業界をさらに苦境にするかなと私は思っていますので、そこはやっぱりしっかりと日本国として、測定技術なり、評価技術なりをしっかりして、そういうものを導入していくということが求められているのかなと思います。

(野口)
ありがとうございます。最後のお言葉は、結局私いま日本コンクリート工学会で、鹿島建設からも取違さんに参加していただいて。どうやったら正しく評価できるのか、そのあたりの検討に入ったところなので。ぜひ今の言葉を受けて、本当にコンクリートが環境に役に立つ、それの証明できるような形の規格なりを作っていきたいと思ってますので。またご協力をいただければありがたいと思っておりますので。

(坂田)
こちらこそ、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

(野口)
コンクリートの歴史的な変遷までも含めまして、現場で、それから研究所でコンクリートの実践・開発に携わってこられた坂田様から非常に貴重なお話を伺い、さらに将来を見据えたコンクリートのあり方というところまでご示唆をいただきまして、本日は本当にためになった座談会ではなかったかと思います。ぜひとも今後ゼネコンの方々とRRCS、生コンの方々とRRCS、それから他の業界ともですね一緒に、コンクリートが永劫続いていけるような形で頑張っていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。