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対談
座談会

第10回 RRCS対談&座談会

2021年8月30日配信

 

テーマ

CO2排出量は、”竣工前:竣工後=3:7”である!?

「カーボンニュートラル社会に向けた建設設計のありかた」

参加者

 

株式会社日本設計

取締役副社長

福田 卓司 様

(野口)
視聴者の皆様こんにちは。生コン・残ソリューション技術研究会の代表理事を務めております野口貴文でございます。あっという間に時が過ぎまして、今回で10回目となりました。これまで様々な方々と対談をさせていただいておりますが、建設業界だけではなくて、いろいろな分野の方がこれまで登壇して頂いたりしております。
今回は建築分野ではございますが、本筋と言っても間違いないと思います建築設計事務所、それも組織設計事務所としてその雄たる日本設計の取締役副社長の福田様、日本建築学会に副会長も務められておりまして、私と時々オンラインで会話をさせていただいておりますが、今回は福田様にご登壇いただきまして、設計におけるCO2の削減。これは、私はよく存じておりますが、非常に重要な分野で、設計こそCO2削減だというふうに思っていたところでございます。
そのあたりのことをご説明いただきながら、逆に我々の生コン・残コンもCO2を削減できるのだと言うようなことで会話を進めさせていただければと思っています。
本日はよろしくお願い致します。

(福田)
よろしくお願いします。日本設計の福田ですよろしくお願いいたします。

(野口)
それでは今日、まずは日本設計といたしまして建築を設計するときにどのような環境配慮をされているのかあたりについてご説明をいただいて、それに対していろいろ私分からないこともありますので質問させていただければと思っていますそれではよろしくお願い致します。

(福田)
日本設計というのは実は環境ということをすごく昔から大事にせたところがありまして日本設計の企業遺伝子みたいなところがあります。
それは主に20世紀の日本設計を率いたのが池田武邦という人がいまして、この彼がリーダーだったんですけれども。彼がかなり早い時期から環境デザインということで建築だけやっていればいいのではないと。で、建築を取り巻く全体の環境を考えていかなきゃいけない。
それは主に生態系のことを中心に話をしていました。で、それが割と企業の遺伝子みたいな形でずっと受け継がれてきている経緯がありまして、割と環境に対する意識というのは日本設計は割とメンバーみんな高いほうだと思っています。
それで最近の事例に入る前にちょっと、20世紀から21世紀の初めぐらいに栄えてきたものについて少しお見せしながら話をしようと思います。
これはアクロス福岡という福岡のプロジェクトです。福岡市の真ん中にあるんですけれども、もともと正面が天神中央公園でして。もともと県庁があった場所なんですけれども、そこの公園に面したところに建物を建てるということで。これは実は公園の緑をそのままずっと連続させて建物につなげてしまおうという提案をして出来上がったプロジェクトです。
これは実は95年竣工した当時のこんな格好ですね。屋根のほぼ100%に近いところが植物なので、ある意味では仕上げ材として植物を使っていると言ってもいいかなと思います。
それで、これが2010年の状態。ほぼ山になったのですね。これが現在の状態です。ほとんど建物の外皮の植物になっているということと、それから開口部はちょっと植物の奥にあるんですけれどもこれは南になります。で、日射を今度、植物の方があると遮蔽してそれで建物の中への熱負荷を減らそうということを両方向の効果があるプロジェクトです。

(野口)
初めて見た人は本当に山かな、と思っちゃいますよね。

(福田)
そうなんです。で、これは景観の話も一つあるんですけど、やはりCO2の話が非常に大きくて。まぁ植物ですから当然を蓄積していく形になります。それからもうひとつは、これは測定したものなんですけれども、表面温度を測定したものですね。植物は蒸散作用があるので、コンクリートとかに比べると圧倒的に温度が低い。これは2000年当時に取り上げられたのは、むしろ都市に対するヒートアイランドの抑制効果の方を実は上げられました。
実際この周りを見ると温度が低いので、実はそういうちょっと面白いプロジェクトでした。で、これが2000年の頃になりまして、最近何をやっているかということがあります。最近はもうZEBの話も普通に出てきていて、それで今ZEBということで事例でいうと何があるかということでちょっとお見せしたいなと思います。
これは雲南市っていう島根県ですね、の市庁舎です。これがほぼ75%減です。おそらくZEBで、この評価が始まってから我々が関わった中ではZEBに近づいているプロジェクトです。これをやっていて1つ思ったのは、いろいろなことをやっているんですけれども、島根県なので、森林バイオマスというのが非常に大きいですね。それで森林、木材を使ったあと、それから一部使わないのもあると思うんですけども、間伐する際で。木材チップを作ってそれをバイオマスで循環させていて。これを地域通貨を使って地域で循環させていくという仕組みをつくっています。これによるバイオマスエネルギーによるエネルギー消費が非常に大きくて、ここに少し数値を書いてありますけれども、一般的な庁舎に比べて約77%の承認になって、Nearly ZEBを作っていると。中々そうは言っても庁舎でここにまで取り組めるケースではまだ少ないですね。非常に恵まれていたプロジェクトだと思うんですけれども。それを達成することができたということがございます。
で、これはちょっとこれは大変なんですけども、超高層でZEBにアプローチした事例です。55%ぐらいの削減になります。
これは大きかったのは、実はこれだけ大きいプロジェクトになってくるので、都市の地域全体でのエネルギーとのやりとりが非常に大きくて。実は地冷を使っているんですけれども、元々は地冷の区域としてはこの区域だったんです。この今回のプロジェクトはこの区域なんですけども、外れている区域から。
それでこれはこれで地冷を抱えてですね、当然地冷で余っていたり、足りなかったりするところがあるんですね。それをここでまた作ることで、熱を地域、地域に熱をやりとりしているということをやりました。で、多分こういうのは少しずつ増えてくるのかなと思っています。東京の場合、地冷でやっている区域非常に広い、多いんですけれども、それに対してまあ良いか悪いか分かりませんけど開発の区域が周囲に広がっていますよね。
そのときにやっぱりこういう視点がより重要になってくるかな、という風に思ってまして。それによって省エネを進めていこうということでやっております。

(野口)
あれですね、建築物単体っていうよりも本当に街とか都市に広がっていっている感じですね。

(福田)
多分こういう話はなんとなく増えていくのかなという風に思います。
そういった観点で私たちとしてはかなり環境配慮について、いろいろなプロジェクトをやっていくということで取り組んでいるというのが全体の日本設計における環境配慮の建築物としてはそのようなお話がございます。

(野口)
ありがとうございました。目からウロコみたいにですね、本当に建築設計だけをやっているわけではなくて、本当に街を設計しているという。それこそガス会社だとか電気事業者とよく似たような感じで、地域のエネルギー問題にも貢献しているっていうのがよくわかった紹介を頂けたと思います。
その中でZEBが、先駆的にZEBに近いような形の建設を設計をされていて、それがZEBが最近もう必須とは言わないまでも、皆さんZEBとか、ハウスですとZEH目指している形でこう動いてる中で、エネルギーの削減というのは国の施策でも、省エネ基準というのでどんどんどんどん高めていって。うまく回っていっているようなところがある中で、やっとここ1、2年なんですけど。1、2年もないですかね1年ぐらいですかね。コンクリートに若干焦点が当てられ始めて、コンクリート自体がCO2削減という意味で役に立つと、今まで全然思ってもなかったような雰囲気になりつつあるというところです。あの、木材は二酸化炭素を吸収して成長して、それを我々が建築とかに使っていて。仮に建築物が壊されたとして燃やされたとしても、CO2排出しますけど、結局は固定化した分が排出されるっていうことでそれがちょうど建築物のライフサイクル50年とか100年とかっていうオーダーと木材の木の成長が50年、100年という丁度バランスが取れて。これでカーボンニュートラルも、それも継続的にカーボンニュートラル化を図れる自然の素材であるっていう。それは非常にうらやましかったですね、コンクリート側から見ると。それがCO2を資源としてとらえましょうという、そういう見方が出てきたときにCO2資源だとすると、使わなきゃいけない。使うときに二酸化炭素をそのまま使うんじゃなくて、それをもう一回有用なものに戻して使いましょうっていう。そういう考え方の中で、いま実はコンクリート業界はカーボンリサイクルという観点でちょっとも沸いちゃっているっていうところがあります。
その辺が、実はZEH、ZEBとこう色々やっていく上でたぶん最後まで私、残ると思ったのが材料面での、結局のところCO2削減。ここはセメント使ってる限りは、どうしてもゼロにはできないんじゃないかという風に思っていて。省エネ進めてZEHができてZEBができてという中で、運用時のエネルギーはそういう意味ではたぶんゼロになったりマイナスになったりと言うことができるんでしょうけど、どうしても作っていくところのセメント使う限りコンクリートを使う限りは無理だろうなという風に思ってたのが、やっとそれが最後の本当に砦を潜り抜けるようなことになってきたかなという風に最近感じておりますけど。福田様の方からこれまでコンクリートってどういうものだと思ってきたのかっていうあたりを、正直なところ少しお話いただいて、今私が申し上げたようなコンクリートにもこういう未来があるんだってことで申し上げた中で、今後期待されるようなことっていうのがどんなことなのかっていう少しお伺いできればと思いますけど。

(福田)
正直に申し上げるとたぶん設計者は恐らく、運用後のCO2に多分フォーカスがいっていて。作るときのCO2についてたぶん関心が低かったと思います、正直に言って。設計者全般に言えると思うんですけど。で、いろいろなことが考えられるんですけれども、LCCO2について話題になったときに、よく氷山の絵が出てきますよね。水のところに氷を浮かべて、氷に埋もれているものがありますよね。多分あのインパクトがあったのかもしれないですけれども、運用の上でのCO2を減らすことが重要だということに力点が置かれましたよね。

(野口)
そうですね。

(福田)
あれもひとつの弊害じゃないかと思ったんですけれども。

(野口)
でもあれですよね、運用時の方がエネルギー消費でCO2排出している量は当然多くて。私の認識だと、多分建築物だと7割とか8割ぐらいは運用時ですよね。

(福田)
はい。それがたぶん我々設計者とかクライアントもそうだと思うんですけど、インプットされていて、おそらくそれを減らしていくことにかなりエネルギーを使っていて。水の上に浮かんで出ている氷山のものについて、少し意識が薄かったのではないかというのが正直に思います。ただ逆にいま先生おっしゃったように、建築を作るということは必ずこの部分があって。で、そこが例えば全体の2割3割だと思ってもこれは大きいですよね。そこに対する意識というのはやっぱり持たなきゃいけないと思ってますし、最近のCO2の捉え方としてサプライチェーン全体を含めて捉えるべきじゃないかという動きもありますし。それから国交省のグリーンチャレンジなんかでもやはり、そこの材料だったり建設であったり、そこのプロセスをやっぱりかなり重視していかなきゃいけないんじゃないかということが出てきていると思うんですね。
ですので我々みたいなところ、組織事務所だとかどうしても大きいものが多いですから。メインはやはりコンクリートと鉄の側が我々の主戦場ではありますよね。だからそこの意識がやっぱり薄かったんじゃないかというのは正直思ってます。
で、最近になってこういう話が出てきて、それで我々も社内で構造の人間を集めたりして、いろいろディスカッションしたりして。これからコンクリートに対してもっと取り組んでいかなきゃいけないんじゃないかということは今社内でもPRしているところです。

(野口)
なるほど。あの、氷山の一角っていうのがこれまでの努力で、たぶん隠れている部分が相当ZEB、ZEHで結局もうなくなってきていて、ゼロになり。もしかしたらもうマイナスっていうね、上をカバーしても全部になっちゃっているかも分からないような状況かもしれないんですけど。最後はやっぱり残ってたものがどうしてもここの、木材を使うことっていうのはそこの部分の解決策にはなっていたんですけど。福田様が仰るように全てが木造化できるわけではないという中で、ぜひ今後日本設計として材料の方にも目を向けて頂いて、コンクリートに目を向けて頂けたときには新しいそういう、本当にCO2をゼロにできるようなものもですね、ぜひチャレンジで使っていただけるとですね、ありがたいかなと思います。残っているのがやっぱり建築基準法のハードルなんですね。その辺ぜひ一緒に乗り越えていければいいかなと私は勝手に思っておりますけど。ぜひよろしくお願いします。

(福田)
ぜひ取り組みたいと思います。

(野口)
それからもうひとつコンクリート、もうちょっと申し訳ないんですけど。コンクリートが役に立つような側面というので、建築物というよりは建築物を取り巻く地盤とかなんですけどね。日本ってアスファルトの道路の比率がもうむちゃくちゃ多いんですよね。海外に行くとそこまで多くなくて、コンクリート舗装の道路だったりしますけど。中性化ってご存知ですよね、建築物でセメントコンクリートを使っていると中性化が起きちゃって、コンクリートが中性になると中の鉄筋錆びて、それが膨張してコンクリートひび割れてもうダメになっちゃうっていう。あの現象が、道路であれば実は鉄筋が入っていないので起きない。で、二酸化炭素を実は原料として使うんじゃなくて、吸わせちゃいましょうっていう。これはもうCO2削減というと、特に道路なんて排ガスでいっぱいCO2出ているので吸わせちゃいましょうとか。っていうことでコンクリートをそういう方向で使っていけないかなと。建築でいうと、どちらかというと駐車場系が一番多いんだと思うんですけど。コンクリートに二酸化炭素を吸わせてやりましょうっていうことも、我々の研究会の中では考えてて。
それもですね、透水性のコンクリートという、穴ぼこだらけのコンクリートを考えていて。

(福田)
ポーラスになっている。

(野口)
ポーラスのコンクリートなんですけど。そうするとあの二酸化炭素どこまででももう入っていけますし、で、尚且つさっきのヒートアイランド現象の抑制という点では、水を通してなおかつ保水をしてくれているので、水の蒸散効果でやはり路面の温度が少し下がってくれるというようなことも期待したというところで。その辺どうですかね、設計事務所、建築設計事務所だとなかなかその道路建設なんていうのもないと思うんですけれども。歩道とか、駐車場ぐらいですかね

(福田)
駐車場ですね。

(野口)
その辺にそういう、CO2に吸わせましょうと。材料に関してコンクリートも候補にあがってくるといいかなと思います。それから昔なんですけど、2010年よりちょっと前ぐらいにスウェーデンから建築家の人が訪問してこられて。今スウェーデンでどんな建築物が作られているんですかっていうことで、ZEBとかZEHがで始めた頃かもしれないですけどね。床を設計するのに二酸化炭素を吸わせますっていう事を言われてたんです、そのとき。
もう床は中性化しても、水が来るわけじゃないので。

(福田)
室内だからって事ですね。

(野口)
室内だから、ええ。錆びないんです、鉄筋は。なのでもう良く吸うコンクリート、二酸化炭素をよく吸うコンクリートにしていますって。で、あまり強度いらないですよ。その辺が非常に驚きではあったので、もし設計されるのに今後室内のコンクリートなんていうのは、水が来なければ二酸化炭素は吸えれば吸った方がいいっていうぐらいの設計になるとですね、それはそれでライフサイクルCO2という観点で言うと、結構マイナスに近いところまで、もしまだプラスだったら、そのへんマイナスぐらいまで持っていってくれるぐらいの貢献度があるんじゃないかなと思うんですけどね。

(福田)
今回この話を伺って、それで実は日本がアスファルトの比率が多くて諸外国は意外にコンクリートを使ってるっていうのが知りまして、それちょっとわかってなかったですね、正直に申し上げると。それで驚いたというのがあります。
いろいろ、なぜだろうというところはあるんだけど、まあこれはあんまりこういう事を言ってはいけないんだけど、既得権益があるのかなって感じはなんとなくしましたね。

(野口)
そうですね。

(福田)
アスファルトを、まぁインフラが入っていてしょっちゅう掘り起こしていますよね。コンクリートだとあれがまず出来ないっていうのがありますよね。

(野口)
そうですね。そういう意味で耐久性が売り物のコンクリートなので、あれやっちゃうとですね、相当大変なことになりますよね。

(福田)
多分高速道路みたいな道路で言うとインフラがそこには抱え込まないから、それはかなりコンクリートにもっていくっていうのは考え方があるのかなと考えたり、高速道路だとスピードが出ますから、それによって道路の保持力といいますかね、車が。それとかいろんな関係があるだろうけど、それは何か技術的に解決できそうだなとか。それは非常に思いましたね。

(野口)
そうですね。ヨーロッパの方の規格の付録なんですけど。まだ規格になってないんですけど付録の中に、コンクリートが施工されて、竣工してから構造物が一生の間にどれぐらいCO2を吸うかっていうのを計算できるような仕組みを、付録の中に盛り込んであって。その盛り込んでいる量を、実は設計の時にきちっと考慮していくことができると、本当の意味でのCO2の排出とか削減というのが明確になってきて。これは統計値とか、あとはそういう世界全体で排出されているCO2とか吸収されて固定化されている量を正しく出すためにも、コンクリートの使用量が実は水の次に多い材料というか物質なんですよね。それだけたくさん使われているので、じゃあそれだけのコンクリートは二酸化炭素もこれだけ吸えるんですっていう、その辺が明確になることがむしろ2050年に1.5度の温度上昇を抑えましょうというのを本当に達成しようとしたときに、過剰な要求も、それから過小な要求もなくなって正しいことにつながっていくんじゃないかなというふうに思っているところです。
で、ちょっと話最後になっちゃうんですけど、実は東大の方でキャンパスのマネジメントをしようとしていて。キャンパス自体が、お金が国立大学無くなってきているので、ちゃんとマネジメントしないと老朽化だけしていて全然運用できない。で、その中に、もう学校ってコンクリートで作られてるじゃないですか。ではどうやってマネジメントするのかという中にITを取り込みましょうと。やはり東京都の中で一番の電気量、エネルギー使っているのって東大なんですね。なので省エネも図らなきゃいけない。で、実はそういう古い建築物で、我々は新しいものばかり作っていけない。まぁキャンパスをマネジメントするっていうのはある意味、キャンパス自体文化的な価値も持ち始めちゃってるので、古いものをいかに現代の技術でマネジメントし、その中でCO2の削減、省エネを図りCO2の削減を図りっていうようなことを、やっていかなきゃいけないんですけど。そこにITが必要になってくるのかなと思うんですね。で、デジタルツインという形で、実はキャンパスとまったく同じものをコンピューター上で再現していきたいんですけど、実はデータが古い建築だから全く無い。今ですとあれですよね、BIMとか使ってちゃんとそういうデータが保存されて、そのBIMをベースにデジタルツインみたいな作ってたぶん運用もですね、相当高効率的にできるんじゃないかと思うんですけど。そのあたり日本設計として今後のITを使っての。
建築設計、建築のマネジメントみたいなところって、どんな感じで進んでいきそうなのでしょうか。

(福田)
日本設計は実はオートデスク社っていうBIMを、まぁレヴィットですね、っていうソフトがありますけど、それを作っている会社とパートナーシップを結んで、それで一緒にBIMに取り組んでいきました。日本の中でBIMって言うと、アメリカのBIMそのまま持ち込むことがなかなかできなくて。それで日本のまぁ色々な省エネ基準だとか、今ある周りのいろいろな規制がありますけれども、それをある程度取り込まないと意味がないところがあったりして。で、一緒になって開発してきてBIMに取り組んできまして。でもフルBIMでやってる案件って2割ぐらいですまだ。部分的にBIMを使っているのが3割から4割の間くらいです。部分的BIMというのは、やはりBIMがやはり作図上どうしても向いてないところもやっぱりあるんですね。そこはある程度は腕力でBIMでやるというケースもやはりお客さんとの関係の中であって。それだったり2割くらいですね。それで私たちにとってやりやすい部分をBIMでやって、あとは2Dでやってるケースがあって、それに含めると3割ぐらいって感じ。で、先ほど先生が仰っていたようなCO2の値、これを科学的なデータで数値を見える化するということがすごく重要で。それがBIMとリンクしていくってことはすごく大事だと思います。で、それが今後必要なんじゃないかなと思います。それはやっぱりクライアントに説明する上でも重要ですし、建設・建築という非常に数多くの部品や材料でアセンブルで出来上がっているようなものですから。トータルで考えるときにやはりそれぞれのパーツがCO2とどういう、数値でいうとどれぐらい生み出しているかとかですね、それから全部リンクしていくという形をとっていかないと、これなかなか難しいと思ってます。で、社内でもちょっと、学会にいてこういうことを言っていいのかというのはあるんですけど、学会のライフサイクルアセスメントの入力する項目がやはり多すぎてですね。実際にそれを全部事細かにつぶして入力していかないと出てこない。それはやっぱりかなり労働が深く大きいんですね。私たちも社内でいろいろヒアリングしてみると、キャスビーの簡易計算版ぐらい、あれだとこう割と簡単なので、ザクっとした数値はそれで出しやすいんですけども、そういう詳細やろうとするとやっぱりちょっと今のをもっと簡単にしていかないと、なかなかみんな取り組みにくいところがありますね。

(野口)
なるほど。

(福田)
で、やっぱりちょっとお話が少しありましたけど、イギリスはすごく進んでいて。英国のBIMというのは基本的に、全部あれまず国が主導してやってきたというところが大きいと思うんですけれども。頭から体系化されてできていますね。ですから、それがCO2の数値をそこに入れ込むというのが割とスムーズにいった原因というのがそこにあると思います。

(野口)
なるほど。

(福田)
日本はやっぱりちょっと日本らしいんですけれども、BIMが出来た時に施工者は施工者にやりやすいようにやろうとする、メーカーはメーカーにやりやすいようにしてしまう、設計者が設計者に、ということで全体の体系化ができていないですよね。だからそこがやっぱり非常にネックだと思います。それは今実は国交省と一緒にやっているんですが、少しずつ少しずつ前に進めようとしていますけれども。つまりそれを体系化していくということが非常に重要なのだと思います。それはやらなきゃいけないと思います。

(野口)
なるほど。なんかあれですよね、ペーパーがデジタル化したときに、入力するのに追われてっていうのってもう、それこそ20年ぐらい前の状態かもしれませんけど。やっぱりちゃんとした制度設計であるとか、体系化がきちっとできてきたときには、それこそ強力なツールとして本当にマネジメントも効率的になり、人間がやらなくてもいいような形のマネジメントが。人間がやらなくてもいいところは効率的にITがやってくれるっていう世界が訪れるのかなと思ってます。
今のITを使った建築であるとか、建築設計だけじゃなくてマネジメント系のことも話をいただいたんですけど、やはり建築っていうフィールドを考えると残したい芸術的な感覚っていうんですかね。そこはやっぱりコンピューターにやってもらっちゃ困るかなっていうところはあると思うんですけど。どうしても人間がクリエイティブな感覚で新しいものを作っていくという、この辺について最後ですけど福田様のお考えをお聞かせいただければありがたいんですけど。

(福田)
はい、まぁコンピューターが今世紀に入ってますます進んできているものができるようになっているのは事実だと思いますけれども、コンピューターによって何かを放り込んで出てきた答えっていうふうにやっていこうとすると、当然ある機微化なものしか出てこなくなってくるところがまだまだあります。人間やっぱり新しいものを作っていかなきゃいけないっていうのが事実ですから、そこはやっぱりコンピューターによって全部自動的にできるようなものの世界に陥ってはまりこんではいけないというふうに思っています。
単純にいうと床面積があって、これを一番、何て言うんでしょう、外部の負荷に対して一番少ないものにしようとすると、表面積が小さいものが良いわけですよね。しかも合理的であろうとすると正方形で、いわゆる真四角で全く凸凹のない、それから開口部も極力少なくするのがいいに決まっているわけですけれども、それが人間にとって快適かどうかとちょっと違いますよね。だからそれはやっぱり一番そこのコンピューターを低いレベルで利用するとやっぱりそういうことに陥りやすいんじゃないか。で、ただコンピューターができる、進んでシミュレーションソフトとかいろいろなことが使えるようになって、もっと今は例えばこういうものを作りたいというときに、もっと多角的な検討ができるようになってきますよね。それは非常にコンピューターの進んでいるところで。それはやっぱりうまく使っていかないとダメだと思いますし、またやっぱり我々みたいな仕事は、我々が前だったらできなかったことが、やっぱりコンピューターが進んだことによってできるようになって。それは国立競技場の時に話題になりましたけれど、こんな向きの建物だとか、いろいろな話がありますけれども、それも一つあるんだけど、やっぱりいろいろなシミュレーションができることによって、それこそ先程のCO2の検証なんかもそうですし、より良い、よりCO2に関しても優れたものや、そういうことができるなってきていると思うんですね。
ですからそれはもう、むしろやっぱりコンピューターに頼るとダメになるというよりは、コンピューターをむしろもっと積極的に使って、コンピューターの優位な点は人間が判断して、いい建築を作っていて社会に還元していくということが重要かなと思ってます。

(野口)
ありがとうございます。いかがでしたでしょうか。本日は日本設計の福田様に登壇いただきまして建築の設計における環境配慮、それからITの利用等々ですね、色々なことをお話しいただきました。我々の生コン・残コンソリューション技術研究会にとりましては、実はよくよく考えると非常に重要なポイントが各所に散りばめられていたのではないかなと思います。コンクリートという材料も大事にしながら、今後も建築物の設計、街の設計、都市の設計に対して、我々から新しいコンクリートを提案して、ぜひ日本設計だけではなく日本全体の設計で使っていただけるような形に持っていければと思っておりますので、また次回をお楽しみにしていただければと思います。福田さん、今日はどうもありがとうございました。

(福田)
どうもありがとうございました。